リバイバルジャパン取材日誌
Revival Japan 8月15日号と雑感
隔週誌「Revival Japan」(RJ)は毎月1日と15日に定期購読者のお手元に届くようにと、その5日ないし6日前にすべてのデータを印刷所にお渡しする。その日を下版日と言うが、次回8月15日号(8月1日着)の下版日は27日だった。 非常にハードだったが、何とかデッドライン10分前に終えることができた。おかげで昨日は死んでいた。(笑)
今回は日本プロテスタント宣教150周年記念大会、旭川ゴスペルナイト、沖縄トランスフォーメーションと3つの記事を掲載したが、どれも違う教派の教会が協力して開催したもの。不思議な導きを感じた。教会協力は急速に進みつつある。また、9月に日本福音同盟が主催して行われる第5回日本伝道会議も、第4回沖縄大会のテーマ「和解」を受け、さらに教派間の協力を踏まえたものとなっている。
150周年記念大会は、ケチを付けようと思えばいろいろと言えるのだろうが、わずか2日間の祝会としては良かったのではないかと思う。労された牧師、スタッフの方々には「本当にご苦労様でした」と言いたい。
振り返ってみれば、この150年で世界の宣教事情は大きく変わった。当時は、欧米が宣教の主力を担い、日本にも米国から数多くの宣教師がやってきた。ペリーに代表される、日本に開国を迫った当の本人が米国であるし、その米国は当然日本をキリスト教化しようと思っただろう。ミッションスクールをつくり、医療・福祉に力を入れ、日本社会にキリスト教文化を根付かせた。日本もそれを喜んだ。しかし、キリスト教の核である「福音」は受け入れなかった。内的開国はしなかった。
これは何故か。ひとつには日本と米国の不幸な関係があったと言えるだろう。心理学者の岸田秀は、砲艦外交によって無理やり日本を開国させた米国は、日本に対して「強姦」をしたに等しく、また日本はその強姦相手をその後「親切な人」だと認識したことにより、米国を憎む「内的自己」と、米国に擦り寄る「外的自己」に分裂してしまった、と分析している。戦中と戦後で見れば、戦中は、内的自己が支配的になって「鬼畜米英」と憎み倒し、戦後は外的自己が前面に出て「マッカーサー様」と擦り寄る。それも一瞬のうちに。これを一人の人間としてみれば完全に精神分裂症だと言うのだ。 またそれは、個々の日本人のなかに存在する分裂でもあると。
私はこの説を完全に支持しようとは思わないが、我々日本人のなかに米国への屈折した感情があることは確かであり、岸田の分析の多くはあたっているように感じる。広島、長崎、東京大空襲…。あれほどの大量虐殺をされておきながら、相手を憎むことなく「あやまちは繰り返しません」と自己批判してしまう日本人。あまりにも立派すぎる。韓国や中国は、国を挙げて日本を憎んでいるというのに。しかし本当は、憎んだり怒ったりした人間だけが本当に相手を赦すことができるのだと思う。
そして日本におけるキリスト教は、かの150年前より、米国とセットだった。日本のクリスチャンは、内村鑑三などの一部を除き、米国に擦り寄る「外的自己」そのものであったと思う。そして内的自己のより強い日本人、端的に言えば日本の文化や伝統を愛する人々からは「バタ臭い」と嫌悪された。「和魂洋才」と、外側は欧米に合わせても魂だけは譲らないと頑張ってきた日本は、国は欧米化してもクリスチャンにだけはなるまいとの心の機制が働いてきたのではないか。
では、この国でどのような人がクリスチャンになるのか。一般論で言えば、欧米に対するあこがれがより強い人である。教会で英会話教室を開いた時にそこを訪れる人たち、米国に留学したいと思っている人たち。都会にはそういう人がたくさんいるし、田舎にも一定数いる。実際、東京や大阪では、欧米の宣教師の教会は急成長している。もっと細かく言えば、オーストラリアやハワイという、欧米でも「内的自己」があまり騒がない国々からの宣教師はより多く実を結んでいる。
一方で、韓国系の教会はあれほど熱心に伝道をしているが、一般の日本人を救いに導くことはあまりできていない。誤解を恐れずに言えば、ホームレス伝道でとどまっている。これもまた、別の意味で民族的感情が働いていると言える。それは「蔑視」。日本人の誇大妄想的な部分であるが、戦前、他のアジア諸国よりも自分たちが民族的に優れていると思い込み、その残渣は未だ拭い切れているとは言い難い。
日本が土台から救われるようなリバイバル。それは、内的自己の強い日本人も救われるリバイバルなのだと思う。かといって日本的キリスト教を確立しよう、日本人の誇りを取り戻せ、と頑張るのではなく(多分それでは一部の右翼的な人しか救われない)、日本人が心の奧で蓋をしている怒りや憎しみ、蔑視を適切に表現して真に相手を赦し、赦され、癒されること。それが鍵を握っているように思う。リバイバルが起きた韓国も中国も、あまり健全とは言えないが、その表現はしている。
RJの下版だけを書くつもりだったが、話が発展してしまった…。
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