リバイバルジャパン取材日誌
「山上の垂訓」を行う
マタイの福音書7章24節「だから、わたしのこれらのことばを聞いてそれを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができます。」 この聖句を読み、「これらのことばって何だっけ?」と思って前を読んでみると、5章から7章へと続くいわゆる「山上の垂訓」だった。そしてその24節の直前には、イエスの名によって悪霊を追い出し奇跡を行ったと言い張るにせ預言者たちに対し、主は厳しい態度を取るであろうことを示している。
この対比に、改めてキリスト者の「行い」について考えさせられた。悪霊を追い出し、奇跡を行う、これはイエスご自身がなされたことであり、その働き自体はとても貴重なものではあるが、ここで主が「これらのこと」と言っておられるのは、まさに5章から7章14節までの教え。広く解釈すればイエスが語られたすべての言葉だが、この現場では、山上の垂訓である。
そして、この山上の垂訓を実行する者は「岩の上に家を建てた賢い人」であり、聞いても実行しない人は「砂の上に家を建てた愚かな人」となる。信仰生活25年(「教師生活25年…」と言うのはど根性ガエルの町田先生)であるが、この山上の垂訓を実行することが信仰の基礎、土台をかたちづくるものであるとは、ほとんど意識してこなかった。
山上の垂訓というのはあまりに高い倫理レベルであって、「それは私たちに罪を教えるためなんだよ。情欲をもって女性を見たことのない人はいますか?」というようなメッセージによって悔い改めに誘導されるだけに止まっていたようにも思える。しかしここには、憎しみのこと、和解のこと、敵を愛すること、善行のこと、祈りのこと、断食のこと、お金のこと、衣食住のこと、さばきのこと、救いのことが書かれている。クリスチャン生活の基本が網羅され、イエスはこれを「行いなさい」と言っておられる。
こういった基本的なことが疎かにされたままで聖霊の賜物を用いても、伝道しても、教会形成をしても、それは砂上の楼閣である。たやすく世の波に洗われ、流されてしまう。また、リーダーシップ論や教会成長論をいくら学んでも、それを実行する人がこの御言葉に生きていないなら、何にもならないし、そのような人間が集まってリバイバルを叫んでも、空を打つ拳闘である。過去を振り返れば、戦前・戦中のキリスト教会が国家の誘導によって神社参拝を行っていったのも、この山上の垂訓を実行に移さないキリスト者ばかりであったから、とも言えるのではないか。その倒れ方はひどく、いまだ我々は立ち直っていないのかもしれないのだ。
これは、あまりに単純なことである。単純であるから見落としやすい。しかし、あのガリラヤの丘でイエスの言葉を聞いていた群衆、多くは教育を受けていない病や苦しみを背負った人々は、「ああ、このことばを実行すればいいんだ」と単純に思ったはずである。ユダヤ的な文脈の中で語られた言葉なので、今の私たちはそれを理解しつつ適用しなければならないが、これが私たちの「土台」をかたちづくるものであることは忘れずにいたい。
日本の教会が1%を超えられない理由についていろいろと言われるが、まずは個々のクリスチャンが、この土台ができているかどうかを検証する必要がある。そして行う(行い続ける)必要がある。
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