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キリスト教雑誌 舟の右側

ワイチローの取材日誌

リバイバルジャパン取材日誌

ハイチ大地震(2月15日号掲載記事)

更新日:2010年1月25日

 中央アメリカ・西インド諸島にあるハイチ共和国(人口約900万人)で1月12日に発生したマグニチュード7・0の地震は、25日現在で、死者15万人以上、負傷者約19万人、60万9000人以上が野外生活を余儀なくされるという未曾有の大被害をもたらした。この状況に対し、キリスト教会とキリスト教系NGO組織が素早い救援活動を開始した。


「祈り」と「救援活動」
 スペインとフランスの植民地時代に西アフリカから連れてこられた黒人奴隷を先祖に持つハイチ人。欧米の植民地政策によって国民の約80%がカトリック教徒となり、プロテスタントも約10%を占めるまでになっている。しかし、キリスト教と同時にアフリカ土着の宗教ブードゥー教を信仰する人も多い。また、ペンテコステ派の伝道も活発で、アッセンブリーズ・オブ・ゴッド(AG)は同国に273の教会を持ち、会員は6万6643名を数える。
 ハイチ地震の報を受けた米国アッセンブリーのジョージ・O・ウッド理事長はその夜、寝ずに祈り、翌日から教団を挙げての支援活動を開始した。AG災害救援基金からの経済的支援、先遣隊を派遣しての現地調査を行い、救援隊「コンボイ・オブ・ホープ」がポルトープランス郊外に救援センターを設置した。
 また、AG全米祈祷センターが特別な祈りのガイドを作成。?救援部隊の人々が、まだ生存している人々を救出することができるように。?家を失った人々の住む場所と安全が確保されるように。?食糧や飲料水などの支援物資が被災地に迅速に届くように。?世界中のクリスチャンが心のからの祈りと実際に捧げることによって行動を起こしていけるように。?この大災害のただ中にあってハイチの人々が心を神に向け、救いの賜物を受けることができるように。クリスチャンたちのケアの手を通して神の愛を体験することができるように。これらを含む12項目が祈り続けられている。
 また、2004年のスマトラ沖地震などでもいち早く行動を起こすなど緊急支援のノウハウを持つ「コンボイ・オブ・ホープ」は、支援物資を人々に投げ渡すことで奪い合いになることを避け、被災者を10名ごとのグループに分けて救援センターに入れるなど、効果的な支援を行っている。同団体はこれまでに22万9000食を配布し、近日中に約180トンの食糧、水、支援物資をハイチに輸送する。
 ウッド理事長は次のように語る。「必要とされている物資は、どれほど言及してもしきれないほどだ。テレビ画面に映し出される映像など、とてもハイチの人々の喪失感を描き出すものにはなっていない。そして残念なことに、被災者の困難は増すばかりだ……。しかし、これは私たちにとってキリストの愛を示す一つの機会だ。傷ついた人々の心に主イエスを届けることは、言葉に尽くせないほど重要なことだ」

子供たちへの支援
 国際的なキリスト教系NGO組織ワールド・ビジョンはハイチでも30年以上にわたって活動を続けてきた。地震を体験したワールド・ビジョン・ハイチのフランク・ウィリアム事務局長は、地震発生当時の状況を次のように語った。「地震は35秒ほど続き、街中から悲鳴が聞こえました。多くの建物が崩れ、道には瓦礫が散乱しているため、交通が遮断されています。地震発生後、多くの人はなすすべもなく、道に座り込んでいます」
 ワールド・ビジョンは、約40名の緊急人道支援チームをポルトープランスに派遣。ポルトープランスと隣国ドミニカ共和国のジミニに活動拠点を設け、避難用テント、浄水剤、食糧、衣料品などの緊急支援物資を配布している。11の病院とヘルスセンターに医療品を届けたほか、数千人の被災者に衣料、食糧、水などを配布し続けている。またワールド・ビジョン・ハイチのスタッフには、自身が家族や家を失ったメンバーもいる中、懸命な救援活動を行っているという。
 ワールド・ビジョン・ジャパンも急遽、坂賢二郎スタッフを同地に派遣した。17日に現地に到着した坂氏は、「本格的な緊急支援はまだまだこれからの印象です。特に被害の大きかった街の中心部は、爆撃にあったかのような有様です。住む場所を失った人々は、公園などで仮の生活を始めざるを得ない状況です」と報告している。
 「チャイルド・スポンサーシップ」を主な活動の柱とするワールド・ビジョンは、今回も子供たちを最優先に援助活動を行っている。17日には、地震で親が亡くなったり離れ離れになってしまった子供たち150人に対して医療品、食糧、水などを配布した。また、21日はチャイルド・プロテクション(子供の人権保護)の専門スタッフが現地に到着し、国連機関などとの連携のもと、子供たちと親を再会させるプログラム、子供たちが被災によって受けた心理的トラウマをを緩和させる場所「チャイルド・フレンドリー・スペース」の運営が開始される。
 ハイチは、国民一人あたりのGNI(国民総所得)が560ドル(約5万円)という西半球の最貧国。そのため、親が子供を養うことができず、ストリートチルドレンになってゴミをあさったり、売春をする子供たちも多い。さらに人身売買も行われている。今回、親を亡くした子供たちが多数、国外に連れ去られているとの情報もあり、子供たちを緊急に支援する必要がある。
 怪我で苦しむ子供たちも多い。ワールド・ビジョン・カナダのスタッフの地震当日の報告。「11時頃まで、次々と負傷者が押し寄せてきました。学校から帰宅途中に地震に遭い、瓦礫の下敷きになっていたところを救出された少女。足首を骨折し、足が外側に向いてしまった少年。激痛のため、泣き叫ぶ声が響いていました」
 ワールド・ビジョン・ジャパンでは、ホームページ(http://www.worldvision.jp)、もしくはフリーダイヤル0120?465?009(平日午前9時?午後7時)から募金を受け付けている。


 また、国際飢餓対策機構(FHI)の緊急援助チームも1月17日に現地入りし、FHハイチのメンバーと協力しながら援助活動を続けている。募金は左記まで。

郵便振替
00170?9?68590
名義:日本国際飢餓対策機構
※記入欄に「ハイチ大地震」と明記のこと。

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