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キリスト教雑誌 舟の右側

ワイチローの取材日誌

リバイバルジャパン取材日誌

韓国教会との関係

更新日:2010年1月28日

今週の「AERA」(2月1日号)に、次のような見出しの記事が掲載された。

日本の聖域 第4回 日本のキリスト教会
韓流に乗って勢いづく 韓国に弱い日本の教会

現在の日本のプロテスタント教会が韓国キリスト教の強い影響下にあるとの内容で、「ラブ・ソナタ」を全国で展開するオンヌリ教会(ハ・ヨンジョ主任牧師)の働きなどが紹介されている。また、日本福音同盟(JEA)の中島秀一理事長の「韓国の協力がないと(国内の教会は)やっていけなくなる」とのコメントも記載している。

内容はおおむね的を射たものと言えるだろう。プロテスタント宣教150周年記念大会をはじめとして、近年の大規模な集会では必ずと言っていいほどオンヌリ教会のハ・ヨンジョ牧師が講師として立てられ、どこに行ってもCGNTVが取材をしている。「韓流に乗って勢いづく」という状態ではないが、韓国キリスト教会の影響は、近年ますます強まっている。

現在、韓国から日本への宣教師は1300人(日本のプロテスタント教会は約8000)ほどいる。そして韓国では、2030年までにはこれを5000人に増やすことが祈られている。ある韓国人牧師が、韓国には牧師が余っているので、それをどんどん日本に送ればいい、という意味のことを言っていたが、本当に日本への使命が与えられた人だけが来るべきだろう。どちらにしろ、自分たちの教団や教会の旗を立てることに躍起になることだけは避けていただきたい。

ただ、こうした日本のキリスト教会の海外依存傾向は、今に始まったことではない。福音派では長く「ビリー・グラハム、ビリー・グラハム…」と言われ、ペンテコステ派では「チョー先生、チョー先生…」と言ってきた。またリベラル派にしても、ドイツなど欧米の神学者に依存している。現れ方が違うだけで、本質的傾向(病理)は同じだ。

内田樹が『日本辺境論』(新潮新書)で、丸山眞男が書いた「私たちはたえず外を向いてきょろきょろして新しいものを外なる世界に求めながら、そういうきょろきょろしている自分自身は一向に変わらない」との言葉を引用しているが、これはまさに日本のキリスト教会に当てはまる。外側は西洋的(あるいは韓国的)だが、内実は極めてニッポン的なのだ。

海外の牧師や宣教師を必要以上に崇める、その傾向は一向に直らない。同じ聖書の真理でも、海外の牧師が語ると「深く感動」する。自分たちの現状や聖書認識に不安があり、いつまでたっても“安心感”がない。もちろん、私たちキリスト教メディアにも、その傾向は強い。他から学ぶ姿勢は保持しつつも、もう少し対等な意識を持てればと願う。

また本日、国際福音キリスト教会の卞在昌(ビュン・ジェーチャン)氏が、女性信徒らへの準強姦の容疑で逮捕された。先ほどの「AERA」の記事でも、「全国小牧者コンベンション」を主宰していたA牧師として詳しく記述されている。彼に対しても以前、多くの牧師や信徒、そしてキリスト教メディアが、「ビュン先生、ビュン先生…」と崇めていた。

ただ、日韓の関係を「AERA」に書かれたからと言って、教会が独立路線を目指す必要はない。むしろ、これからの日韓協力、そして日・中・韓の教会協力は、大切な課題だ。個人的には、日本の教会は中国・家の教会から多くを学ぶべきだと思っている。ただ学ぶにしても、儒教的な上下関係ではなく、キリストの御体としての相互尊重と友情をベースにすることが大切だと思う。韓国の宣教師やワーカーたちがよく「私たちはへりくだって日本の教会に仕えたい」と言われるが、「友達」でいい。意識的なへりくだりは既にそのうちに高慢を内包している場合が多く、失望の後には恨みが残りやすい。

そして私たちは、きょろきょろする目を、まだ救われていない魂に向け、思いをキリストに集中して行きたいと思う。どんなときにもキリストは、なすべきことを教えてくださるはずである。

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